詩画一致-日中の水墨画鑑賞事始め 「修理後大公開!静嘉堂の重文・国宝・未来の国宝」展を楽しむ
静嘉堂は、岩﨑彌之助(1851~1908 彌太郎の弟、三菱第二代社長)と岩﨑小彌太(1879~1945 三菱第四代社長)の父子二代によって創設・拡充され、現在、国宝7件、重要文化財84件を含む、およそ20万冊の古典籍(漢籍12万冊・和書8万冊)と6,500件の東洋古美術品を収蔵しています。
今回の講座では、静嘉堂ならではの東洋絵画の逸品が勢揃いする「修理後大公開!静嘉堂の重文・国宝・未来の国宝」展(10/4~12/21)の見どころをご紹介しながら、室町時代の水墨画や中国明清絵画、それらの背景にある文人の思想や文化について勉強します。
中国・北宋時代には蘇軾や黄庭堅のような文人士大夫があらわれます。特に蘇軾の詩は、室町時代の五山の禅僧たちに大きな影響を与えました。禅僧たちの中には、周文など絵画を得意とするものもあらわれます。この周文が描いた山水画に、高僧たちが沢山の詩文を揮毫し、寄書きのようになった詩画軸と呼ばれる作品が数多く作られるようになりました。詩画軸の中でも文人の書斎を描いた書斎図は、中国に留学し文人士大夫の文化を学んだ禅僧たちがもたらしたもので、餞別などとして贈りあったものです。こうした詩画軸や書斎図は、画中の漢詩と山水画と、両方を読み込んで初めて面白さがわかります。
また墨に五彩あり、という言葉がありますが、優れた水墨画は墨だけで実に様々な表現がなされています。滲みやぼかしなど墨の使い方、線や皴法など表現の手法、さらに主題についての理解を深めることで、水墨画の深遠な世界に入り込む「臥遊」の楽しみを味わうことができます。本展に出品される、近年修理を終えて美しく蘇った室町時代の屏風や中国宋・元・明時代の掛軸などを例に、3回の座学の後、最終回11/19は下記の展覧会を見学します。
■2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)開催記念
修理後大公開!静嘉堂の重文・国宝・未来の国宝
2025年10月4日(土)~12月21日(日)
前期:10月4日(土)~11月9日(日)
後期:11月11日(火)~12月21日(日)
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備考
(一般1,500円、大高生1,000円、障がい者手帳をお持ちの方700円(同伴者1名無料))