藤沢周平の世界 珠玉の時代小説と作家の生涯
日本の魅力ある博物館・美術館シリーズ
鶴岡市立 藤沢周平記念館
2021年春期より「日本の魅力ある博物館・美術館シリーズ」講座を実施しています。北海道から沖縄まで、日本全国の魅力ある個性的なミュージアムの学芸員や研究員が講師を担当し、コレクションや企画展について解説します。
今期は山形県鶴岡市の鶴岡市立藤沢周平記念館です。時代小説にファンの多い藤沢周平ですが、伝記小説やエッセイなど幅広いジャンルの作品を残しています。今回は記念館を監修する遠藤崇寿さんと学芸担当の進藤恵理也さんが、飯田橋キャンパスで藤沢作品の世界を解説します。ぜひご受講ください。
――緑豊かな鶴岡公園に静かにたたずむ藤沢文学の拠点
鶴岡市立藤沢周平記念館は、鶴岡市出身の時代小説家、藤沢周平の作品世界を豊かに味わい深める拠点です。2010年4月29日、作品にも登場する鶴ヶ岡城の本丸・二の丸跡である鶴岡公園の中に開設されました。全国各地から藤沢作品のファンの方々にご来館いただきながら、開館15周年の節目を迎えています。
記念館の展示は、常設展示と企画展示で構成しています。
常設展示は三部から成ります。第一部「藤沢文学と鶴岡・庄内」では、映像やスライドで、藤沢周平の心の中に生き続けた鶴岡・庄内の原風景を小説の一節とともに紹介しています。
第二部「藤沢文学のすべて」では、直木賞受賞作品『暗殺の年輪』をはじめとして、「武家もの」「市井もの」「歴史小説」「伝記小説」といった系統ごとに作品の魅力を紹介しています。
第三部「作家・藤沢周平の軌跡」では、藤沢周平の生涯をたどり、日々の生活や郷里の人びととの交流を紹介して、人柄の温もりを感じていただく展示としています。
企画展示は、年2回開催していて、豊潤多彩な作品世界の中からテーマを決めて、より深く藤沢文学の魅力を紹介しています。企画展示に合わせて、藤沢文学を味わい深める講演会や朗読会など各種イベントを開催しています。
展示の見どころのひとつが、移築・再現した書斎です。六畳間のうち四畳半部分ではありますが、解体された東京の自宅の建具を用いて、愛用品や調度品を当時のままに置き、数多くの作品を創作した場を再現しています。
派手なことをきらい、「ふつうが一番」と家族に語っていた藤沢周平の思いを大切に、記念館は緑豊かな城址公園の一角に静かにたたずんでいます。
日本を代表する時代小説作家のひとり藤沢周平。間もなく没後30年を迎える今も、藤沢周平作品は多くの読者に読み続けられています。 この講座では、代表作や転機になった小説を取り上げながら、自身のエッセイや手帳の記述を通して藤沢作品の魅力を解説します。 藤沢周平に興味を持ち、もっと知りたいと思った方は、ぜひ山形県鶴岡市にある藤沢周平記念館を訪れてみて下さい。三方を山に囲まれ、一方に海が拡がる豊かな庄内平野は「海坂藩」の情景そのものです。講座の中では、記念館の展示と施設紹介、藤沢周平と鶴岡の関わりについて解説します。
鶴岡市立 藤沢周平記念館
住 所 〒997-0035 山形県鶴岡市馬場町4番6号
電 話 0235-29-1880
入館時間 午前9時~午後4時30分(受付終了)
休 館 日 水曜日(休日の場合は翌平日)、年末年始(12/29~1/3)
入 館 料 大人320円/高校生・大学生200円/中学生以下無料
アクセス バス JR鶴岡駅から約10分、市役所前下車徒歩3分
車 山形道鶴岡I.C.から約10分/庄内空港から約25分
■企画展 「開館15周年記念企画展『たそがれ清兵衛』の世界」
2025年9月26日(金)〜 2026年5月26日(火)
会場:鶴岡市立藤沢周平記念館
「武家もの」の代表作のひとつである連作短篇集『たそがれ清兵衛』には、八つの作品が収められています。「たそがれ清兵衛」「ごますり甚内」「だんまり弥助」など、特異な物腰や風貌、極端な性格をあだ名され、普段は周囲に軽んじられている八人の主人公たち。しかし、藩内の派閥抗争や家に降りかかる災厄に対しては人知れず秘めた見事な剣を振るい、困難を乗り越えます。それまで暗い基調の作品を書いていた藤沢周平が、「小説の面白さ」を意識して「転機の作物」になったという『用心棒日月抄』。その発表から七年後に、ユーモアを基調とするこの連作短篇が始まりました。
本展では貴重な自筆原稿や旧蔵書を展示し、物語からうかがえる庄内の風景や歴史と共に明るさと笑いに彩られた物語の魅力を紹介します。
- 開催日
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- 場所
- 千代田区
- 主催者
- 東京都立大学
- 定員数
- 30名
- 費用
- 5000円
- 申込期日
- 問い合わせ
- 03-3288-1050平日9:00~17:30
- 対象世代
- 現役世代
- 学習レベル
- 初級者
- 関連する資格、職業等


