ハエから学ぶ脳科学 ストレスは脳にどのような影響をあたえるのか?

コロナパンデミックにより、東京都では4回の外出制限が課せられたことはまだ記憶に新しいのではないでしょうか?
・外出自粛期間中に不安や脅威を感じましたか?
・自由に外出できないことに不満を感じましたか?
・友人とおしゃべりできないことで孤独や疎外感を抱きましたか?
このような要因はヒトにとってストレス源になります。そして、ストレスにさらされる期間や回数が増えることで、体の不調を感じる場合もあります。実は、人間のみならず多くの動物が「ストレス」を経験して生きています。動物が自然界で餌を探して食べることは生存のために必須ですが、常に天敵と遭遇するリスクがあり、運悪く遭遇したら必死で戦う、もしくは逃げる必要があります。そのような状況下で体に起こる反応は「ストレス反応」と呼ばれています。
ストレス反応の1つに脳の機能不全が挙げられます。食欲の低下もしくは過食、睡眠障害、認知機能の低下、意欲の低下など脳機能に様々な変化が生じます。しかし、どのような機構により脳機能が変化するのか、まだよく分かっていません。近年、ヒトで見られるストレス反応が昆虫であるショウジョウバエでも確認され、そのメカニズムが明らかにされつつあります。本講義では、ストレス研究を通してハエを用いた脳科学の魅力をお伝えしたいと思います。
●ストレスが睡眠におよぼす影響とは?
ヒトの場合、ストレスにより睡眠の減少や断片化が生じます。では、ハエはどうでしょうか?
そもそもハエのような昆⾍は眠るのでしょうか?
本講義ではハエの睡眠研究について紹介しつつ、ストレスによるハエの睡眠障害のメカニズムを紹介していきます。
●脳の機能はストレスにより変化するのか?
最近、ストレス経験により脳の神経細胞の活性が変化することが明らかにされたので、最新の情報を紹介したいと思います。
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